全方向水面移動式ボート型ドローンを用いた橋梁点検支援技術
橋脚の洗堀調査における従来の点検手法には様々な課題がありました。これらの課題を、全方向水面移動式ボート型ドローン(以下、ソナー搭載式ボート型ドローン)を用いた技術にて解決しました。
本技術の活用による現場での課題解決効果やコスト削減の事例についてご紹介します。
活用事例
■橋長:355.9m
■幅員:11.3m
■橋梁形式:8径間連続合成鈑桁橋
■対象部位・部材:P18、19、20橋脚 基礎
■性能カタログ(又はNETIS)番号:BR010041-V0224 性能カタログ
従来点検の課題
ポール等を使用して河床高を測定したり、潜水士が水中に潜って目視する洗掘調査には増水などの影響で事故の危険性が生じることがあります。また、透過率の低い濁水中では撮影した写真が不鮮明で形状把握が困難な場合もあり、取得できる情報が観測した箇所のみに限られるなど、様々な課題がありました。
点検支援技術の効果
ソナー搭載式ボート型ドローンを用いた洗掘調査は、従来の点検手法に比べて以下のような効果があります。
浅い場所でも実施可能:プロペラが上についているため、比較的浅い場所でも推進が可能です。
安全性の向上:従来技術と比べて、人が潜る作業が不要となり、点検の安全性が向上します。
高所作業の削減:高所作業がなくなることで、点検員の安全性が向上します。
近接目視と同等と判断できる理由
ソナー搭載式ボート型ドローンを用いた洗掘調査は、従来の近接目視と同等と判断するに至った以下の理由があります。
多方向からの観察:水上部から様々な方向から河床形状を観察できるため、近接目視と同等と判断しました。
詳細な観測と図面作成:人力と同様に、基礎や河床形状の観測と縦横断図の作成が可能なため、近接目視と同等と判断しました。
コスト比較例
比較条件:橋脚の洗堀を調査したときと比較
評価:従来技術と比べ、外業のコストダウンに寄与
項目 | 従来技術 | 点検支援技術 |
外業 | 潜水士 | ドローンによるソナー調査 |
内業 | 測定写真整理 縦横断図作成 | 画像分析・点検調書作成 |
比較対象 | 潜水士 | ボート型ドローン |
合計金額 | 583,000円 | 530,000円 |
工程 | 2日 | 1日 |
諸条件 |
点検箇所:200m²(河川上のみ) 桁下高:約6.0m(河床~桁下) 天 候:晴れ 対象部位・部材 :主桁、横桁、床版、対傾構、下横構 防護柵、地覆 進入路:有り 点検時間:9:00~17:00 たたき落とし作業:無し 積 算:業者見積もり 前回の健全度:Ⅰ判定 |
ソナー搭載式ボート型ドローン
特許登録
特許番号 :特許第6928684号
技術概要
本機体は、水面上を全方向へ移動できる4つのプロペラを有した機体で、中央部にソナーを搭載しています。これにより、橋脚周辺の河床状況を計測し、確認することが可能です。計測された情報は手元のモニターで確認できるほか、ソナー本体内のSDカードに保存されます。
プロポ(送信機)を使ってボート型ドローンを操作し、橋脚周辺の計測を行います。計測終了後、ソナーデータをソナー本体のSDカードから読み取り確認します。または、手元のスマートフォンとソナー機器を接続し、画像を確認しながら記録を行います。
特徴
①河床状況の確認
②洗堀等の損傷をリアルタイムで確認
③洗堀の状況をデータ化し、等深線図にて視覚化
機体情報
サイズ | 長さ1200 x 幅850 x 高さ280 x 板厚100mm |
重量 | 15kg(ソナー含む) |
最高速度 | 約5.4km/h |
連続稼働時間 | 30分程度 ※環境・使用状況による |
最大伝送距離 | 約300m ※環境により異なる |
最浅水深 | 200mm以上 ※ソナーを除いた場合 |
ソナー | LOWRANCE製ソナー HDS-7 LIVE |
計測不可 状況例 | ・最浅水 1m未満 ※ソナーによる ・流速が0.7m/s以上の河川 ・ボート着水が困難な場所 |
使用時の留意事項
※作業の実施判断には流量や流速などの条件を考慮する必要があります。
※着水場所や電波通信距離などを考慮し、対象箇所を選定する必要があります。
お問い合わせ
株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク
インフラDX推進担当
jiw_dbk@jiw.co.jp
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