TOP導入事例モノレール施設の維持管理効率化に向けたドローン活用

2022.02.07

モノレール施設の維持管理効率化に向けたドローン活用

大阪モノレール様は、昼間点検の実現という観点からドローンに注目されました。
JIWと共に淀川橋梁の点検を実施し、モノレールが営業する中での昼間点検という日本で初めてのドローン点検事例となりました。

遠方目視なのに近接相当の点検が必要

大阪モノレールの線路構造物は、軌道法と道路法の双方に基づいた法定点検の実施が義務付けられています。軌道法に基づくと、2年1回、遠方目視による点検が必要となりますが、道路構造物でもあるため道路法にも基づいた点検が必要となります。
点検は5年に1回と間隔があくものの、近接相当の点検が要請されます。

道路法の点検には高所作業車や工作車(軌道作業車)を用いますが、これらの作業車でも近接できない橋梁があります。
これまでは、夜間にロープアクセスによる点検を実施していましたが、時間と費用の双方が維持管理の負担となっていました。
しっかりと点検を行って、安全を確保するためには必要なコストですが、高所での作業は安全面においても懸念がぬぐえない手法と考えられ、改善に向けた検討を進めてきました。

負担とコストの削減により生産性の向上を実現

ドローン点検は、河川敷や隣接する橋梁から実施でき、モノレール軌道に人が近接する必要がありません。また、夜間作業による点検業者の負担軽減とともに、職員の夜間立会の負担が無くなったことは大きな点です。
これまでは不良カ所の写真のみが報告されていましたが、ドローン点検では現場をくまなく動画で撮影することによって、後から現場を見返すことが可能になりました。そのため小さな変状に起因した問題発生時の原因分析に活用できることが大いに期待できます。
また、データや原因分析の共有化が関係者の間でスムーズに図れることも大きなメリットです。

今回は、コスト面で1/5、日程面で1/10程度に削減し、生産性向上を実現しました。

活用をご支援させて戴いたJIWのことはどう思われたか

JIWの点検チームは、橋梁をはじめ土木構造物に精通しています。
現場業務はドローン撮影がメインでしたが、業務がスムーズであったことに加え、どこを重点的に点検すべきかなどの知識面でも積極的に職員様をサポートしました。
大阪モノレール様からは「非常に良かった」と高い評価をいただきました。

今後は点検はもちろん、非常時・災害時の対応も視野に

大阪モノレール様は、今回効果が確かめられた橋梁点検については今後も積極的に活用していく方針です。また、その他の構造物についても活用をめざして、道路上である制約を一つ一つ確かめ、安全に活用可能な場所を検討していかれる予定となっています。

また、非常時・災害時のドローン活用にも関心が高く、今回橋梁で活用したSkydio J2には期待をしています。
Skydio 2は、高いレベルでの障害物回避機能を有し、パイロットの高い技能を必要とせずに、自律的に障害物を回避して、運転者を支援します。緊急時に職員自らが運用できる可能性も高く、導入を検討していきたいとのこと。
モノレールだから線路上の歩行が困難なため、大阪北部の地震の際の緊急点検に相当な時間がかかったことを教訓に、災害時の対応についても強い関心を示しています。

遠方目視も難しい、駅部の天井裏、躯体が見えない所においては点検作業が困難な場所の一つです。
例えばこのような狭隘部に入ることができる超小型のロボットやドローンについても、技術進展に沿って活用検討を進め、工務全体の品質・生産性向上を牽引し、安全運行の高度化を目指しています。
関西における新技術活用をけん引する事業者様として展開が大いに期待されます。